交通事故の治療終了時に弁護士に何を相談すべきか

名古屋で交通事故を扱う弁護士です。

前回前々回の続きとなります。

人身事故の段階、

①交通事故直後
②治療中
③治療終了時
④後遺障害認定時(後遺障害が残った場合)
⑤示談提案時
⑥訴訟時(示談が成立しなかった場合)

の中から、③治療終了時に弁護士に相談すべきことについて記載します。

治療終了のきっかけとしては、

  • 完治して病院に行く必要がなくなった
  • 症状は残っているが、医師より、これ以上治療しても改善の見込みがないと言われた
  • 医師より、症状固定と言われた
  • 症状は残っているが、保険会社より、治療費を打ち切られた
  • 保険会社より、症状固定と言われた
  • 労災保険より、治療終了を言われた

等、様々なきっかけがあると思います。

これら、きっかけは様々かもしれませんが、交通事故の手続きとしては、次の2つの場合に分けて考えていくことになります。

  • 完治の場合
  • 症状が残っている場合

まず、完治の場合、その後の話としては、相手方との間で示談の話を進めていくことになります。この段階では、弁護士に、次のような点を相談すべきです。

・相手方から補償されるべき項目は、どういったものがあるか
・立て替えたお金はどうするか
・慰謝料はどれくらいになるか
・休業損害はどのように請求するか

この段階になれば、ある程度賠償の総額や、示談の見通し等目処がつくと思いますので、具体的な示談の金額や、弁護士に依頼した場合にどのような見通しになるかを相談すべきでしょう。弁護士費用の保険がない場合には、弁護士に依頼した場合の金銭的なメリット・デメリットも含めて、相談すべきです。

次は、症状が残っている場合です。
この場合、検討すべき点は多岐にわたるので、症状が残っている状態で治療を終了する場合は、必ず、交通事故に詳しい弁護士に相談すべきです。弁護士費用の保険がある場合はもちろん、弁護士費用の保険がない場合も、弁護士に依頼した方が良い場合が多いです。相談すべき点は次のような点になるでしょうか。

・治療を本当に終了して良いのか
・治療終了前にしておくべき検査等はないか
・後遺障害の手続きはした方が良いか
・後遺障害が認定される可能性はあるか
・後遺障害が認定されるとすれば、どのような等級の可能性があるか
・後遺障害診断書には、どのようなことを書いてもらうべきか
・治療を終了した後、何をすべきか
・後遺障害の手続中に集めておくべき資料は何か

等です。

この段階での動き如何によって最終的な解決が変わってくることがあるので、必ず、相談だけでもされることをお勧めします。

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交通事故の治療中に弁護士に相談すべきこと

前回の続きとなります。

前回記載したとおり、お怪我を伴う交通事故の大まかな段階は、次のとおりです。

①交通事故直後
②治療中
③治療終了時
④後遺障害認定時(後遺障害が残った場合)
⑤示談提案時
⑥訴訟時(示談が成立しなかった場合)

前回は、①交通事故直後について記載しましたが、今回は②治療中に弁護士に相談すべきことについて記載します。

治療中、交通事故の被害者は、入院や通院を続けていくことになります。

治療中は、保険会社から頻繁に連絡が来ることもあれば、ほとんど連絡がこないこともあります。
治療期間中は、1日でも早く身体を治すことに専念する期間となりますが、次のような点は、弁護士に相談しておくと良いと思います。

通院に必要な交通費はどうすべきか
入院中に必要になった費用はどうすべきか
休業が必要になった場合はどうすべきか
診察の際、医師にはどのようなことを伝えておくべきか(詳しくはこちら
保険会社から連絡があった際は、どういうことを伝えておくべきか
治療期間中に準備しておく証拠はあるか

特に怪我の程度が重い場合には、準備しておくべきことが多いので、遅くとも治療が終了する前に、弁護士に相談されることをお勧めします。
ご本人の意識がない場合等は、後見の手続きをしなければできないこと等もありますので、ご家族の方は早めに相談だけでもされることをお勧めします。

次回は治療終了時について記載します。


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交通事故について弁護士に相談するタイミングはいつがベストか?

名古屋で交通事故を扱う弁護士です。

交通事故について、弁護士に相談するタイミングは、いつが良いのでしょうか。

弁護士への相談はいつでも良く、できれば早い方が良いというのが回答になります。

もっとも、段階に応じて、相談すべき点や、弁護士へ依頼すべきかという点が異なるので、段階に分けて記載したいと思います。
怪我を伴う交通事故の場合、段階としては、次の段階に分けることができます。

①交通事故直後
②治療中
③治療終了時
④後遺障害認定時(後遺障害が残った場合)
⑤示談提案時
⑥訴訟時(示談が成立しなかった場合)

どの段階においても、弁護士に相談するメリットはありますが、それぞれの時点において、どういった点を相談すべきか等について記載していきます。

  • 今回は、①交通事故直後について記載します。

交通事故直後は、交通事故について分からないことだらけの状態かと思います。
特に、初めて事故に遭われれる方にとっては、何を聞いて良いのかも、分からない状態だと思います。

交通事故直後の場合、まずは全体的な手続きの流れについて、弁護士へ聞いておいた方が良いと思います。
全体的な流れについて説明を受けたら、そのとき直面している、次のような点について確認すべきでしょう。
・人身届は出した方が良いのか(詳しくはこちら
・警察対応はどうすべきか(詳しくはこちら
・病院対応はどうすべきか(詳しくはこちら
・物損はどう進めていくべきか
・どのような証拠を残しておいた方が良いのか(詳しくはこちら
・健康保険を使った方が良いのか
・労災にした方が良いのか
・過失割合はどれくらいになりそうか
・病院へ行った方が良いのか
・車両保険や人身傷害保険等、自分の保険は使った方が良いのか
・会社を休むことになった場合の補償はどうなるのか

一人一人、正解が異なる事柄もあるので、可能であれば、交通事故直後に弁護士に相談しましょう。

特に、次のような方は交通事故直後にアドバイスを得ていた方が良いことが多いので、交通事故直後に弁護士に相談することを強くお勧めします。

・バイク、歩行者、自転車等の事故で、身体への衝撃が大きかった方
・遷延性意識障害、高次脳機能障害、脊髄損傷等、怪我が大きい方
・相手方との間で、交通事故の態様について、大きな争いになっている方

次回は、治療中に弁護士に相談すべき点等について記載したいと思います。


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後遺障害慰謝料の基準−赤い本の基準−

名古屋で交通事故を扱う弁護士です。

前回、むち打ち症等の入通院慰謝料(傷害慰謝料)についての赤い本の基準を紹介しました。

今回は、後遺障害についての慰謝料を紹介します。

後遺障害は、ある程度治療をしたにもかかわらず、残ってしまった症状のことです。自賠責保険の基準により、1級から14級までの後遺障害等級が定められています。この等級は、労災保険の基準を基本的に準用しています。脊髄損傷等で常に介護が必要な場合は1級、1上肢の機能が全廃した場合には5級、1上肢のうちの1関節の可動域が半分以下に制限されている場合には10級、局部に神経症状が残った場合には14級等、症状の重さに応じて、様々な等級が定められています。

このような後遺障害が残ったことに対する精神的苦痛を慰謝するものとして、後遺障害慰謝料という損害項目があります。

では、赤い本では、各等級に応じて、どのような慰謝料の基準が示されているのでしょうか。赤い本では、次のような慰謝料の基準が示されています。

1級  2800万円

2級  2370万円

3級  1990万円

4級  1670万円

5級  1400万円

6級  1180万円

7級  1000万円

8級   830万円

9級   690万円

10級  550万円

11級  420万円

12級  290万円

13級  180万円

14級  110万円

もちろん、実際に裁判となった場合には、これらの基準からの増減がありますが、これらの基準は、かなり裁判所も参考にしています。

名古屋で交通事故を扱う弁護士が保険会社と交渉する際も、これらの基準を前提に話すことが多いです。


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交通事故の慰謝料基準-むち打ち症等の場合の赤い本の基準-

名古屋で交通事故を扱う弁護士です。

交通事故の慰謝料の基準は、どういうものでしょうか。

今回は、むち打ち症等の場合の訴訟基準について書きます。

いわゆる訴訟基準、裁判基準、弁護士基準と呼ばれているものは、交通事故で裁判となった場合に、どれくらいの慰謝料となるかを想定した基準を指します。訴訟では、赤い本等に掲載されている基準がベースとなります。

赤い本では、むち打ち症等で他覚所見がない場合等は、慰謝料の別表Ⅱを使うとされています。交通事故で一番多いとされるむち打ち症、頸椎捻挫、外傷性頸部症候群、腰椎捻挫等で通院されている場合は、この基準が参考になります。骨折等のない打撲等も、基本的にこの基準が適用されます。骨折等がある場合は、別の基準、別表Ⅰを使うことになります。

別表Ⅱでは、通院期間に応じて、次のような基準が定められています。

通院1ヶ月   19万円

通院2ヶ月   36万円

通院3ヶ月   53万円

通院4ヶ月   67万円

通院5ヶ月   79万円

通院6ヶ月   89万円

通院7ヶ月   97万円

通院8ヶ月  103万円

通院9ヶ月  109万円

通院10ヶ月 113万円

通院11ヶ月 117万円

通院12ヶ月 119万円

通院13ヶ月以降は1ヶ月1万円ずつ増加

赤い本基準で通院半年の慰謝料が89万円等と言われるのは、この基準が元になっています。

もちろん、この基準は、交通事故被害者側で、その通院の必要性、相当性を証明できた場合が前提になっているため、不必要な治療があったり、不必要な期間があったり、交通事故の態様や症状からして内容が過剰であったりすると、この基準を適用することは難しくなります。

入院があれば、その分プラスされたり、通院頻度が少なければ、マイナスされることもあります。この基準は絶対的なものではなく、裁判になった場合、全然違う金額になることもあることについては、注意が必要です。

具体的に慰謝料がいくらになるかというのは、事案を具体的に検討しなければ分かりませんが、赤い本の基準は、原則的なものなので、とても参考になります。

保険会社から提示された慰謝料の額が、上記基準と大きく異なる場合は、弁護士に相談することをお勧めします。


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交通事故と病院2

名古屋で交通事故を扱う弁護士です。

前回、初診時に気をつけるべき点について書きましたが、2回目以降の通院時も、自覚症状については正確に漏らさず伝えるようにしましょう。

治療は、当然ですが、お医者様の指示に従って続けていきましょう。
なお、事故直後に診ていただいた病院が遠方等により、継続して通うことが難しい場合、その病院に紹介状等を書いていただいた上で通いやすい病院へ転院しましょう。

お医者様から検査等を勧められたら、できる限り受けるようにしましょう。外から見て、中々分かりづらい症状であっても、画像検査等により、原因が分かり、早期回復に資することがあります。また、相手方より治療の必要性等の証明を求められた場合に、画像等の他覚的な所見があるのとないのでは、証明できる事柄が大きく異なってきます。

痛み等の症状が長期的に続いているような場合には、何か受けられる検査はないか等、主治医の先生に相談しても良いかもしれません。
その分野の専門のお医者様や病院を紹介してもらっても良いかもしれません。

とにかく必要なことは、今の症状を医学的に証明、説明していくことです。それが難しい場合、その症状は交通事故とは無関係のものとして扱われてしまうリスクがあります。
そしてそれを証明する責任は、原則として交通事故被害者に課せられているのです。

もちろん、交通事故を弁護士に依頼した場合には、そういった証明の点も、依頼した弁護士、法律事務所(弁護士事務所)に相談しながら進めていくことになりますが、弁護士は、被害者の方と同じ痛みを物理的に感じることはできないですし、一緒に治療を受けることもできません。実際に怪我をされ、お医者様とも接している被害者の方が一番、ご自身の症状を理解されているはずです。主治医の先生と相談しながら、医学的な証明、説明を考えていく必要があります。

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交通事故と病院

名古屋で交通事故を扱う弁護士です。

今日は病院についてのお話です。

交通事故に遭い、怪我をした場合、救急車等により、病院へ行くことになります。
事故当日は症状が重くなかったとしても、事故による緊張により気になっていないだけで、後々重く感じることもあるので、身体で気になるところがあれば、事故当日か、遅くとも翌日には病院へ行くようにしましょう。

初めてお医者様に診ていただく際(初診時)、何を気を付ければ良いでしょうか。

気を付けるべきは、自覚症状を漏れなく伝えるという点です。

怪我をした場合、一番痛いところが気になるのは当たり前ですし、病院も、一番患者が気になっているところに目がいきます。そして、骨折等をしている場合、患者としても、医療機関としても、そこに気が向くのは当然といえるでしょう。
しかし、その際に忘れてはならないのは、その他の部分です。

人間の身体は不思議なもので、事故当日一番大変であった部分が、完全に治った一方、事故当日にはそれほど気にならなかった部分がなかなか治らないといった事例はとても多いです。
そのようになった場合、問題となるのはその症状と交通事故との因果関係です。
交通事故外傷については、通常、事故当時がもっとも重い症状で、時間とともに軽快していくとされています。
このような経過が通常とされている世界で、事故当時、医療機関へ申告していなかった症状はどのように扱われるでしょうか。

その答えは、最悪、事故との因果関係なし、です。

そうならないために、初診時、お医者様に、自覚症状は漏れなく伝えましょう。
一番痛い、一番気になるところだけでなく、少しでも痛い、少しでも気になるところは、必ず伝えましょう。問診票のある病院の場合、問診票を書くのは面倒かもしれませんが、少しでも気になる症状は、漏れなく書きましょう。

骨折による症状は骨がくっついて完治したけど、最初は骨折に比べて気にならなかった腰の症状が残った

こういう事例は本当に良くある事例です。
骨折の症状に比べれば、相対的に症状が弱かったから、特段お医者様に伝えていなかっただけで実際は当初から症状があった事例がほとんどだと思いますが、保険会社は、事故当初に傷病名のついていない症状については、交通事故との因果関係を否定してくる傾向にあります。

そうならないために、自覚症状を漏れなく伝えることを心がけましょう。

次回も交通事故と病院について書きます。

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交通事故の人身届は出すべきか2

名古屋で交通事故を扱う弁護士です。
前回の続きとなります。

前回、人身事故扱いにすべきと書きましたが、それはどういう理由からでしょうか。今日は人身事故扱いにすべき理由について、書きたいと思います。

人身事故扱いになっているか否かで、警察が調査し、作成する事故の記録は、かなり異なります。特に、過失が問題になっている場合、どのような事故状況であったかを証明する資料として、最も重視される資料の1つが、警察が作成する実況見分調書となります。
実況見分は、たまに道路で見かける、警察が道路を一部封鎖する等して、写真を撮ったり、距離を測ったりしている、例のあれです。車に乗る方は、何度か見かけられたことがあるのではないでしょうか。
あのような実況見分は、原則として、人身事故の場合になされるものです。その結果を記したものが、実況見分調書となります。通常、見取図も添付されます。

保険会社と交渉する場合も、裁判等へ進んだ場合も、事故状況を証明する資料として、実況見分調書は、証拠価値の高い証拠として重要視されます。

ドライブレコーダーが搭載されていれば、交通事故の状況は、一目瞭然の場合もあります。その場合、別の証拠は不必要の場合もあります。ただ、ドライブレコーダーが搭載されている場合であっても、重要な場面が映っていなかったりして、細かい状況が分からない場合もあります。

保険会社が、調査会社を入れる等して、事故の状況を調査することもありますが、保険会社の調査は、どうしても当事者どちらかのバイアスを否定しきれないところもあり、第三者による調査とは言い難いことも多いです。

交通事故においては、民事について当事者双方に一切利害関係がなく、交通事故の直後に事故の調査をできる唯一に近い機関が、警察となります。
それ故、実況見分調書が重視されるのは、実況見分調書そのものの価値が高いというより、他の手段がないという側面もあるかもしれません。

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交通事故の人身届は出すべきか

名古屋で交通事故を扱う弁護士です。

交通事故により怪我をした場合、いわゆる人身届を出すべきか、悩まれることがあるかと思います。

加害者から頼まれたり、相手方の保険会社から言われたり、場合によっては、警察から出さないように言われたりすることもあります。
そのように言ってくる理由はもちろんそれぞれですが、加害者本人としては、免許の点数を気にしたり、大ごとにしたくないとの思いから、保険会社は、加害者へのサービスとして、警察は手続が面倒だから言ってくることもあるようです。

このように、色々なところから、人身届を出さないように頼まれることがあると思いますが、交通事故によって怪我をした場合、原則として、人身事故の届出は出すべきです。

確かに、人身事故扱いになっているか否かで、加害者の民事上の賠償責任の重さが大きく変わることはありません。人身事故扱いになっていなくても、自賠責保険や対人賠償保険が使えなくなるという話でもありません。
しかし、交通事故のことをしっかりと調べてもらい、証拠を残すという観点からは、必ず、人身事故扱いにすべきです。

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