名古屋で交通事故を扱う弁護士です。
交通事故の慰謝料の基準は、どういうものでしょうか。
今回は、むち打ち症等の場合の訴訟基準について書きます。
いわゆる訴訟基準、裁判基準、弁護士基準と呼ばれているものは、交通事故で裁判となった場合に、どれくらいの慰謝料となるかを想定した基準を指します。訴訟では、赤い本等に掲載されている基準がベースとなります。
赤い本では、むち打ち症等で他覚所見がない場合等は、慰謝料の別表Ⅱを使うとされています。交通事故で一番多いとされるむち打ち症、頸椎捻挫、外傷性頸部症候群、腰椎捻挫等で通院されている場合は、この基準が参考になります。骨折等のない打撲等も、基本的にこの基準が適用されます。骨折等がある場合は、別の基準、別表Ⅰを使うことになります。
別表Ⅱでは、通院期間に応じて、次のような基準が定められています。
通院1ヶ月 19万円
通院2ヶ月 36万円
通院3ヶ月 53万円
通院4ヶ月 67万円
通院5ヶ月 79万円
通院6ヶ月 89万円
通院7ヶ月 97万円
通院8ヶ月 103万円
通院9ヶ月 109万円
通院10ヶ月 113万円
通院11ヶ月 117万円
通院12ヶ月 119万円
通院13ヶ月以降は1ヶ月1万円ずつ増加
赤い本基準で通院半年の慰謝料が89万円等と言われるのは、この基準が元になっています。
もちろん、この基準は、交通事故被害者側で、その通院の必要性、相当性を証明できた場合が前提になっているため、不必要な治療があったり、不必要な期間があったり、交通事故の態様や症状からして内容が過剰であったりすると、この基準を適用することは難しくなります。
入院があれば、その分プラスされたり、通院頻度が少なければ、マイナスされることもあります。この基準は絶対的なものではなく、裁判になった場合、全然違う金額になることもあることについては、注意が必要です。
具体的に慰謝料がいくらになるかというのは、事案を具体的に検討しなければ分かりませんが、赤い本の基準は、原則的なものなので、とても参考になります。
保険会社から提示された慰謝料の額が、上記基準と大きく異なる場合は、弁護士に相談することをお勧めします。