交通事故被害者の警察対応

名古屋で交通事故を扱う弁護士です。

警察へは何を話せば良いのか?
コツはあるか?
有利になるようにするにはどうすれば?

このようなご質問をいただくことがあります。

このような質問に対する答えは1つです。

事実をありのままお話しください。

普段は馴染みのない警察から色々聞かれると、警察にそのつもりがなくても、責められているように感じてしまうものです。そして、責められているように感じると、人間、防衛本能が働くからか、どうしても、自分に不都合なところからは目を背け、自分に有利になるように動いてしまうものです。
そのように動いた場合、どうなってしまうのでしょうか。
警察の質問等に対し、不自然な応対をしていると、警察は怪しみ、追及されるようになることもあります。また、一部、客観的な事実、動かしがたい事実、物理法則に反するような話をしていると、他の真っ当な主張についても疑いの目を向けられることになってしまいます。
そうすると、明らかに不自然な話をしているような記録ができあがったり、相手方だけが誠実に話しているような記録が作られることもあります。
そのような記録は、交通事故の手続がすべて終了するまで、あらゆる場面で不利に働き続けます。

警察対応に限ったことではありませんが、交通事故後、どこかの段階で嘘をついてしまったり、大げさに言ったりしてしまうと、その部分だけでなく、他のすべての話に疑いの目が向けられ、あらゆる場面で不利に働いてしまいます。
誰かに何かを聞かれたら事実をありのままに伝える。
当たり前のような話ですが、それが鉄則です。

逆に、事実に反する話は、きちんと否定しましょう。
相手方が事実に反する話をしていて、警察から意見を聞かれた場合は、面倒臭がらずに、しっかりと否定してください。ブレーキをかけた位置、こちらのスピード、停車位置等、相手の供述に合わせて適当に言っていると、とんでもない記録ができあがってしまうこともあります。
その時は面倒かもしれませんが、後からそれをひっくり返すことは極めて難しくなってしまうので、事実に反することはしっかり否定する意識はお持ちください。

特に、入院中に警察が病院にきて意見を聞いてくるときに、適当に対応してしまう事例が見受けられます。もちろん治療が最優先ですが、身体が良くなった後にしっかりと補償を受けられるように、事実をしっかり警察に伝えましょう。

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交通事故の人身届は出すべきか2

名古屋で交通事故を扱う弁護士です。
前回の続きとなります。

前回、人身事故扱いにすべきと書きましたが、それはどういう理由からでしょうか。今日は人身事故扱いにすべき理由について、書きたいと思います。

人身事故扱いになっているか否かで、警察が調査し、作成する事故の記録は、かなり異なります。特に、過失が問題になっている場合、どのような事故状況であったかを証明する資料として、最も重視される資料の1つが、警察が作成する実況見分調書となります。
実況見分は、たまに道路で見かける、警察が道路を一部封鎖する等して、写真を撮ったり、距離を測ったりしている、例のあれです。車に乗る方は、何度か見かけられたことがあるのではないでしょうか。
あのような実況見分は、原則として、人身事故の場合になされるものです。その結果を記したものが、実況見分調書となります。通常、見取図も添付されます。

保険会社と交渉する場合も、裁判等へ進んだ場合も、事故状況を証明する資料として、実況見分調書は、証拠価値の高い証拠として重要視されます。

ドライブレコーダーが搭載されていれば、交通事故の状況は、一目瞭然の場合もあります。その場合、別の証拠は不必要の場合もあります。ただ、ドライブレコーダーが搭載されている場合であっても、重要な場面が映っていなかったりして、細かい状況が分からない場合もあります。

保険会社が、調査会社を入れる等して、事故の状況を調査することもありますが、保険会社の調査は、どうしても当事者どちらかのバイアスを否定しきれないところもあり、第三者による調査とは言い難いことも多いです。

交通事故においては、民事について当事者双方に一切利害関係がなく、交通事故の直後に事故の調査をできる唯一に近い機関が、警察となります。
それ故、実況見分調書が重視されるのは、実況見分調書そのものの価値が高いというより、他の手段がないという側面もあるかもしれません。

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